2012/02/01

ニューヨーク講演④桜沢如一

ニューヨーク講演④桜沢如一

桜沢 英語のクラスでDrバネットという人の奥さんですが黒人です。その人なんかもう二十くらい若くなりましたよ。足がこんなで苦しくて仕様がなかったのが今はにこにこしてはちきれそうです。それからもう一人は、ドクトルです。昨日も一昨日も来てましたが

この人などニュースクールで私の話を聞いてそれから実行し始めたんですね。喜びましてね。四~五日前に誠にしょげた格好で来たので「どうかしたのか」と聞くと「実に偉いことになった」というんです。毎週その妻に放りだされた訳ですね。それで妻に裁判によって一週百二十五ドル払えということになったというのです。月五百ドルです。その他に自分の生活費も要りますからね。子供もいますしね。それで困っているんですね。それが三白なんです。その人が。その原因全ては三白から来ているんです。三白の人は体が冷たいんです。情欲がない。特に性欲がないのです。そうなると女に嫌われてしまうし女は男に嫌われてしまう。それが元なんですよ。何でもない。ところが一昨日昨日あたりはもう晴れ晴れとした顔になって来たのです。

今、一生懸命玄米食べてるんです。今日「馬鹿に良い顔しているね」といったら「もう大丈夫大丈夫」。非常に輝かしい心持ちのいい顔になっているんですね。そこで僕は冗談で、「その調子でいったら女はあっちからもこっちからもたかって来て困るよ」といって笑ったのでしたがね。そんなわけで全て幸、不幸は身からでるのです。身からでたサビといいますからね。神様は貴方がたを不幸にしようとしてこの世を作ってるのではないんですからね、親の身にしてみたらどんな子に対しても不幸にしてやろうの病気にしてやろうのケガさしてやろうなんてないでしょう。もし苦しんでいる者があるとすれば親の心に背いている奴なんです。それが私はただ食物だけでいいというんですね。

-ただ初めの時体に精力が無くなりあっちへヒョロヒョロこっちへヒョロヒョロ。

桜沢 それでいいんです。東洋人は平和な国民でしてね。ポテストしないんです。不良少年、親殺し、人殺し、子殺し、これに食養をやらせたら貴方のようにみんなおとなしくなって悪いことをしなくなるんですよ。訳はないんです。これをアメリカ政府が頼みにくれば秘伝を教えてやるけどもね。貴方方ひとつ押しかけて行って秘伝を教えてやろうと言ったら何万ドルかのお礼をするでしょうね。

-先生、私は治ったので友人の病気を治してあげようと思うのですが・・・

桜沢 もう自分が治ったら少なくとも三百人お助けなさい。糖尿病は実に簡単ですからね。糖尿の人を連れて来てご覧なさい。必ず十日で糖が出来ないようにしますから。

-目の見えないのでもいいんですか。

桜沢 いいですよ。十年二十年三十年位までやりましたがね。古い糖尿を。大抵十日で治します。皆さんはもうそれぞれ相当な地位にいらっしゃるんでしょう?これを従業員や同僚に教えてやるだけでもたいしたご利益です。人を助けていくのですね。そうすると幸福が身についてくるのですからね。面白いでしょう。そして腕が上がってくる。ぜひやっていただきたい。幸いこの協会で関先生が非常に理解してくださったものですからこうして毎日のようにお話しが出来、食事も見本をみせて作ることが出来る訳ですからね。あなた、やってみればすることはなんでもないでしょう。

-えー今はもう何でもないです。

桜沢 始め十日間はね。玄米だけ。いくら食べても良いですからね。ただ一口を必ず五十回噛む。早く治ろうと思ったら百五十回噛む。そうすると大抵正直に五十回噛むと一時間位かかりますよ。百五十回噛んだら三時間かかりますね。これはこれだけなんです。これと胡麻塩ですね。ここで作っているような胡麻塩ですね。

-先生、陽性なものをどうして発見なさったのですか?

桜沢 やっぱりこれです。難有りです。私は生まれたときにもう死んでいたのです。死んで産まれた。五歳になるまでに何度か死にそこなった。棺桶を用意したことがあるそうですからね。それから五歳のときに父親がどこかへいってしまったし、十歳のときに母親が死んでしまった。母親は三十歳で死んでしまったのです。今思うと若いですね三十歳の娘だったのです。そうして四人の子供を手内職で養っていたのです。それで死んでしまったのです。それから妹が母親の後を追い弟も追い三人共皆死んでしまいわたし一人。そのわたしが十六歳から喀血し、いよいよだめだと言われたのです。でも死にたくないですよね。何としても生きたいと思って苦心惨憺してついに東洋医学の殿堂に入ったのです。だれに救ってもらったのでもないのです。東洋医学の本を勉強することによって立ち直ったのです

親もいなければ親類もない。金はもちろんない。それはまあその境遇になってご覧なさい。十歳で天涯孤独というのがどれほどつらいことか。その時分わたしは一枚の汚れた綿入れを着ていました。ひと冬着続けてどろどろになってしまった。子供ですねぇ。洗うのに綿入れをタライの水の中に入れて洗ってしまった。綿入れの水洗いという訳です。干しておいたら中の綿が下のほうに固まって上のほうは袷のようになってしまった。ご飯の炊き方も知らないでしょう?小豆ご飯が食べたくて一遍炊いてやろうと思ったのですが米五合に小豆五合入れて炊いたけど煮えない。絶対煮えない、煮えませんわね。そういうことをやってきたのです。それでわたしが十八?二十の歳にきれいに治ってしまった。病気という病気は皆治ってしまった。目が近視で乱視でトラホーム、鼻が蓄膿で耳が中耳炎、歯は皆歯槽膿漏そして喉が咽頭カタル。心臓が弱くてね、戸ががちゃんといってもふーっとなってね。胃は胃下垂の胃拡張、胃アトニー胃酸過多、そして痔があってインキンタムシがあってね(笑)もうひどいものですよ。わたしのやらない病気というのは婦人科の病気だけですよ。とにかくそんな苦労をした訳でこれなんですね。だから苦労多ければ難あり、すなわちありがとう。それを難ありと逃げたら絶対に幸福にならない。

そうでしょう。数学勉強するのにやさしい問題ばかりやって難しいのを避けていたらもう絶対卒業出来ない。ピアノやっていても難しい曲やらなければ絶対だめです。その難しいのが面白くならなければだめなのです。それには健康です。健康さえあれば難しいことが面白くなって優しいことがまづくなってくるのです。だからまず健康が第一。それではお解かりになりましたね。この五福というのは非常によいことですがなかなか達し難い。四苦八苦の征服、これまたなかなか難しい。それよりも何よりも心臓の悪いのや子宮の悪いのを治さなければだめです。今度ここで斎藤のむこうをはって立派な日本料理屋を作ろうという人が、昨日夫婦できました。素晴らしい、斎藤などそばにも寄れないような凝った建築で、建築家は日本から呼んでやらせているというのですがね。その人が来たのです。それよりこの間日系人会でお話ししたとき、その人を紹介されてちらっとみたのですが、そのとき吃驚したのです。これはいかん、二人ともいかん、旦那さんのほうは心臓が非常に悪い。奥さんのほうは足が腐ってくる病気です。

こちらで余り言いませんが足の悪くなる病気、ホーリングダウンあるいはスクレルダウンクラークと言うのですね。この病気です。まだ三十くらいの奥さんですがもうそれが見えているのです。それで来たとき「貴方随分足が悪いのですね」といったら六年前から足が痛むというのです。・・・昨日見えていたでしょう?君見たでしょう見えなかった?今晩来なかった?あーそれは実に気の毒です。今から事業を始めようというのでしょう?美しい人です。惜しいですねそういうのは・・・その原因は何かというと酢。酸っぱい物、サラダ、果物これなんです。

-それから酒ですか?

桜沢 いや、その女は酒は飲まないですね。酸は絶対使ってはいけません。全部アセッテックアシッドといって酢酸なのです。これは二十、三十年前には法律で禁止してあったものです。日本でもどこででもです。それを今堂々と売っているんですからね。

-サイダービネガーなんて・・・

桜沢 サイダービネガーにしても本当の物はないとわたしは思います。多分ケミカルなものだと私は思います。ビンをよく読んでご覧なさい。多分インテグレアムの所に何と何を使ってあるかが書いてありますよ。昨日もある人がやって来て、私は日本の醤油が好きで毎日食べているというのです。「それは危険ですからやめなさい」というと「いや絶対心配ない」というんです。それで早速ここの台所に醤油のビンを見てご覧なさいといって見せたのです。デンバーかどこかで作っているらしいけど立派なレッテルが貼ってある。老人にはよく見えないけど細かい字でシュガーがはいっている、蜜が入っている、マートが入ってるベゾリンオブソーダと書いてある。これがくせ者なんです。これ、劇薬です。これらが皆入ってると小さな字で書いてある。あそにも二本あるでしょう。

-腐らないようにするために入れるのでしょう?

桜沢 腐らないようにするために入れるのではないのです、ご存知でしょうが醤油というものは作るのにどうしても一年かかります。ところがそんなことをしていては商売になりません。百万円かけて一年待って、それから売りに出すのでは商売になりません。だからこのごろでは化学で塩酸もしくは硫酸など手につけたらピリピリとするようなものすごいものを使って二十四時間で醤油を作ってしまうのです。キッコーマンでもヒゲタでも全て二十四時間で作ってしまうのです。それを料理屋ではふんだんに使っているのですね。だからもう料理屋に行ったらおしまいです。今度岡島さんが非常にすばらしい体験をなさった。ちょっと皆さんにお知らせください。だいぶよくなっていたのでしょう?

-えぇよかったです。

桜沢 ところが難儀だったのですね。こんな困難なことはないと・・・それでとうとうコカコーラを半本飲んでしまった。そして翌朝残りを飲んでしまった。毒を食えば皿までというわけです。それから大変なことになった、三日間でしたか?

-はい、二十年ぶりで寝ました。

桜沢 悪いんですよ。絶対におやめなさい。コカコーラ社の社員は知っているから飲みませんよ。そういうものが氾濫しているのですからね。だから私などどこへいっても何も食べるものがない。ニューヨークで腹がすいても、食べようかと思うものがない。

-先生、何を見ても毒のような・・・

桜沢 また毒なのですから、本当に恐ろしい。ボンボンでもパンでもビスケットでも皆色がついているでしょう?この色がキャンセルジエンといってガンを作る元なのです。

(つづく)
19947月号No.682