2012/03/30

ニューヨーク講演⑫

ニューヨーク講演⑫

―八日からはじめたんですが・・・

桜沢 いやいや、食養は?

―この十日でひと月です。

桜沢 ひと月か。うーん。それはやっぱりイントラクセルです。イントラクセルの病気が出て来たんですね。だからなかなか大変なことなんですよこれは。もうどんな医学でもそれはできないことです。貴方のでも絶対に今の医学にかかったらできない。
そのーソロモン博士の奥さんね、これは二十五のときに結婚したんだと言っていますから二十八上の人に。百万長者だといっていますが何百万もっているか分からないそうですが、でも三年で懲りたというのです。もう薬ばかり注射する。それで逃げ出しちゃった。一文ももらわないこれは。
ドクタークロマイヤーという男がいますね。もう細君に逃げられちゃってね、その逃げた細君に毎月五百ドル払わなきゃならない。泣いてますがね。それ二人目だと言うのですから。二人に逃げられちゃった。
ところが私は世界的に有名なソロモン博士の妻であったのですからよく知っているというんですね。絶対に金儲けしかしない人だというんです。金持ちで金払いのいい人だったら非常に親切にしてやるけれど金の無い人には鼻も引っ掛けない。

―その奥さん、どうなりましたか?

桜沢 きれいになっちゃって・・・。頭の白髪も全部黒くなるでしょう。この八月頃には全部黒くなります。僕が保証しますからね。喜んでますよこの娘は。ミスグールドというんですがね。これは奇跡ですよこれなんかね。
その・・・薬でしょう?ビタミンCでしょう?みんなこれイントラルの中に入っちゃうんです。イントラルセルの中に。血液の中に残らない。非常に投入力が強いものだからね。その薬は血圧を下げちゃう。時々めまいがしたりなんかすることがありますね。
ああいう薬を注射すると。死ぬ人もたくさんあるんですからね。それをやられた三年間も。たまらんから逃げ出したんですが逃げ出したほうが悪いって金くれないそうです。いくらこちらに理由があるといって裁判起こしても相手は千万長者だから政府でも何でも皆動かされてとても勝つ見込みはない娘の身ではね。だからあきらめたんです。もう死ぬべきだったのですね。死んでいたのですね。それがまあ運よくここへ来たのです。それでめきめきとよくなってきましてそれで非常に感謝している。
今朝は小さなポータブルのテレビジョンを持ってきてくれました。要らないっていったのですが持ってきてくれました。非常に喜んでいるんですね、お薬皆やめちゃって。そして朝から晩までご馳走ばかりのソロモン博士がくわしていたような物皆やめちゃってね。

―その博士は奥さんを研究代わりに使ったんでしょうね。

桜沢 そうじゃない。5回流産させたのです。人口流産を。子供が嫌いなんですその医者は。子供ができると妻の愛が子供に移るというんです。自分が独占したい。それで殺しちゃった。みんな殺しちゃった。すごい奴ですね。学者、医者ってみなそうですよ。大体人の病気で金もうけようって奴ですからね。学校へ入るときからそういう心掛けですよ。
学校に入ると病気のことしか習わないので健康のけの字も知らない。そんな人にかかってあなたがたは金取られて金が無くなってから命を取られる。北島さんなんかは本当に医者にかかっていたらいっぺんに手術だね。松川さんみたいに手術してしこたま金取られてそして長くはないんですよ。命の保証はしない、病気の保証はすんだ。切って取ってしまうんだからね。後は野となれ山となれで病気は治ったけれど寿命が無かったんだってこう言ってしまう。
これはわたしの知ってる人なんだけど細君が昔から血圧が高い高いってね。僕はその男に「細君の血圧が高いって血圧でそんなに心配するな」といったら「塩を食べない」とかなんとか言ってるので、「ああそれは心配したってしょうがないな、そのほうが悪い、塩を食って血圧が上がるようじゃ」なんていっていたんだがこの頃ひどくなって目を取っちゃったらしいです一つだけ。どうゆうもんだか会いませんけどねまだ。

―目を取った?

桜沢 はい、目を取った。

―目を?

桜沢 わたしはどうも何かちょっと変な話だなと思ってね・・・医者はねあなたが他の無知に付け込んで手術をすると金が儲かるでしょ。(笑い)本当にそうなんですよ。ひどいもんだ。そりゃもうどんな人でも四十以上になったらなんかしら故障がありますからね。これは目から来ているんだとか、腎臓から来ているんだとか何とかいってね口実はいくらでも付けられる。
だから今度のリーダーダイジェストにね。医学の収入というものが一体どれだけあるのか未だだれも知らない。統計にかからない。恐ろしい富を取っているのです医者は。本当の医者ってものはね、それ絶対に医学や薬で治るものじゃないんですよ。心がけが治らなければ。心がけがよくなっていい判断力が出るんです。あなたがたは判断力が無いんだからね。

―ちっと出て来た。

桜沢 あぁ、ちっとは出来て来た。牛の頭の・・・少し人間の頭が出て・・・大手術ですよこれ。牛の首と人間の首と取り替えるんだから。まだだれもやったことが無い。

―今の細胞の事ですがね、血の流れの中に―細胞の中に―すべての物は陽の中に陰があって―外が陰で中が陽だというのですがそれなのになぜカリウムが陰性でなぜ中に―

桜沢 それは面白い問題だね。社会もそうだろう?女は家の中におれというんだ。男は外に出ても良いけれど、出たほうが良いと。これも反対じゃないか陰陽からいったら。どういう訳だ?

―そうするとそのカリウムの中にも陽性が―

桜沢 いやいや、カリウムはナトリウムにたいしては陰性です。

―ではなぜ?―

桜沢 それはあなたがたが考えて下さい。リマ先生が分からないんだからあなたがた大いに頼もしいね。三十年もついているリマがまだ分からないんだから・・・どうですこの問題解いてみませんか?全て陰性は外で陽性は中なのにこれだけが反対じゃないか、陰性が中を支配してる。陽性が外を支配している、どういう訳だ。これは面白い問題ですね。

―細胞というのは増える場合があるんですか?

桜沢 細胞だけが分裂して行く。

―そうすると細胞というのは陰性なんですね?

桜沢 分裂するって物は陰性ですね。けれど血液によってこれは生まれてくるんだからね、血液が無かったら分裂しないからね。これはもう発生学で考えてる人もいないし考えたって答えのできる発生学者は一人もいないですよ今は。
米国でもヨーロッパでもね。これ一番初めにこの卵子のなかへ精子がはいってくるんですね。こんな小さな男の奴がこの中へ吸い込まれて溶けてそれで懐妊するんです。だからこれ切ってしまうんですね。これね、なくっても良いんです妊娠するのに。
男ってものは無くても良いんです。いまオーストラリアでは五〇〇万匹牛がいる、雌牛がね。だからあそこのバターは安いです。アメリカは閉口してますがね。その五〇〇万の中に千匹しか牡がいない。五〇〇〇頭に一匹しか牡がいない。しかもこれはおいおい減って行くのでしまいに一匹でも良いようになってしまう。何故かというと牡の血液を取っておくでしょう、精液を取っておく。冷蔵庫に入れて置いてそれを少しずつ注射してやれば皆妊娠して子供を産みますからね。
牡は雌よりも高くつくものでね。よく食うし暴れるしやっかいなこんなもの要らないってんでね。いまはもうみんな牡がなくなってしまった。人間もそうなるかもしれませんよ。なりつつある今。大変なことですねこれは、いま英国のノッチンガムシャイヤーではね、羊の毛を作るのに雌も牡も一匹もいない。羊の皮から毛を作るのに。それは羊の皮をつないで長いベルトにして箱に入れてある。箱には一杯薬がはいっている養分がね。それがこうずーっと回っている。この中を回るたびに養液を取ってきてどんどん毛が伸びて行く。もう、するとこんなの―必要な無いし大きな農場を持つ必要も無い。牧場も。科学が進歩するとえらいことになりますよこれから。
ではいまリマが出した問題はね、まぁみんなで一つ考えてご覧なさい。なぜ陰が中に入るのか?ちょっと分からないね。

―というのは一体どういう構造になっているんですか?細胞の構造は・・・

桜沢 陽が一番真ん中にあるんでしょう?まだ分からない。細胞の膜があるかないかって事がまだ実際分かっていないんでね。ロシヤのレぺシンスカヤって八十六の女の人がね、八十の時に初めて細胞に膜があることを発見した事になっている。ところが中は水なんです。真ん中に小さな島がある、周りにぽつぽつとなんだか分からないものがある。顕微鏡で見なければ分からないんだからね。詳しく分析して見ることはなかなかできない。

―それではカリウムよりもっと陰性なものが周りにあるって事になるんですか?

桜沢 うん、それはいえるね。

―それなら・・・

桜沢 ウーン。今ね例えばビタミンC或いはアスピリンこういう陰性なものを注射するとこの中で血液になってこう回りますね。それからどうなるでしょう?

―細胞に入って行くんでしょう。

桜沢 どうして?どうやって?

―だから陰、陰、・・・

桜沢 陰性だから?あぁ、大変良いですねそれは良いですね。このね、この中は陽性なんですからね。でもどうしてもこの陰性が来たら皆この中に吸い込まれてしまう。それでもうみんな陰性の薬を取った人は駄目。ソロモン博士の奥さんがそうなんです。もう体全体がはな垂れ餅のよう。正月の餅を水に漬けすぎて作ると、こんもりと盛り上がらずにぺしょーんと流れてくるでしょう。
そういうふうになってしまった体が。腕でもどこでもよく太って肉づきがよい女ですが寝かしてみるとぺちゃーんと体がつぶれてしまう。まるで腐ったかまぼこみたいだね。見る気がしない。
おまけに所々青い毛細血管が死んで紫色になった奴がざーっと霜がはいっていて斑入りだ。これはみんな死んだ細胞なんですね。これを追い出す力がない。これはみんなビタミンCが中へ入って死んだんですね。もう踵のところなんか立派な静脈瘤で蛇がはったようになっている。三十ですよまだ。偉いソロモン博士なんてののお嫁さんになるとそんなことになってしまう、こわいもんですね。
もうひとつ陰性のものにリンというものがあります。リンの入ったものを食えといってよく医者が薦めてるでしょう?これはみんなこの中に入ってしまう。そうするともうだらしがない。そのソロモン博士の奥さんなど、ぼくが一昨日ちょっときつく握ったらそこがみんな紫色になった。呆れたもんですね。

―西洋人には多いですね。

桜沢 多いです。これみんな動物性たんぱく質がすぎてる。陰性になっているんですね肉食で。わたしはもう68歳まで何万人病気を見たか知りませんが治りにくい病気を持っている人ほど因業な人ですわ。罰が当たっているんだこれはね。つくづくそれを思いますね。

(つづく)

1995年9月号