2014/02/07

免疫力を高めよう(Strengthening Immunity )パート1

ボブ・リゴンBob Ligon

















免疫力は活力機能の平衡の維持と、その平衡を脅かす異常な脅威に対応する身体的な力により測られます。何が免疫システムを構成するのかということに関しては複数の見方があります。例えば、生化学的機能の見方では、バクエリアや抗体、Tセル、ミネラル・バランス、重要な臓器の強度や状態など(消化・排出不良、漏れやすい腸管、弱い腎臓)の観点からも捉えることができます。あるいはエネルギーの観点からは、精神的、感情的、霊的エネルギーの獲得、統合、排除と捉えることができます。第1部では、免疫力に関する肉体的な慣習に焦点を当て、第2部では精神、感情、霊の問題を取り上げます。

循環が鍵
 健康と治癒の土台には循環があります。血液、栄養素、微量栄養素、エネルギー(生命力)を細胞に運び、細胞活動の副産物を排出する。その過程の真っただ中で細胞は奇跡的に栄養素とエネルギーを「命」に変化させ、細胞、体組織、臓器に命を吹き込み活力を与え、身体と心と霊性を生み出しています。表面的に捉えれば、ある人がレストランでウェイターが給仕してくれた食事を食べ、片づけ係の人が後ほど皿を回収してくれる、そのような循環をイメージしてください。

食事は必ずしも必要か?
 免疫系を強化する上でそれを補助する食習慣は必須条件です。それなくては長期的な力強い免疫力を保つことはできません。同様に、健康な食生活は強い免疫力を保証するものではありません。心の硬直性、感情の停滞、霊的エネルギーなど他の要因も同様に考慮しなくてはいけません。とはいえ、先ずはどのような食習慣が免疫力強化につながるのでしょうか?少なくとも当初は、身体を弱体化させる食べ物と飲み物を摂らないようにすることで、強い免疫力が獲得できるようになると分かりました。

砂糖
 弱い免疫系を強化するには、あらゆる砂糖や単純・精製糖質を摂らないようにすることです。ここで言う砂糖とは、全ての甘味料(精製糖、黒糖、粗糖、コーンシロップ、糖蜜、蜂蜜、メープルシロップ、アガベシロップ、有機ケーンシュガー等)のことです。免疫力欠乏症の場合には、米飴、大麦麦芽糖、果物、フルーツジュース、甘酒も避けた方が無難でしょう。あらゆる精製食品、特にパンやパン菓子など精製された小麦食品、アルコール飲料も避けるべきでしょう。

乳製品
 大部分の乳製品は多くの人にとって完全に代謝するのは難しく、体内で停滞してしまいます。乳製品は特に呼吸器系など肉体面において大きな停滞要因となり、免疫系のストレス要因となります。風邪をひきやすい人、耳感染に何度も悩む子供は乳製品を絶つことで目覚ましい回復を見せることがよくあります。乳製品とは、牛乳、バター、チーズ、コテージチーズ、アイスクリーム、ケフィール、ヨーグルト、ギーなどです。ヨーグルトやギーを食すことが健康状態と体調が良くなることがありますが、経験上、免疫力が弱い人にとっては停滞要因となります。それぞれの人が経験豊富なカウンセラーと一緒にヨーグルトやジーが健康に寄与するか実験してみるとよいでしょう。

パリパリ食
 アメリカ人はパリパリとしたクランチーな舌触りが好きです。以前読んだ記事には、コーンチップスやポテトチップスを作る製造会社が単位面積あたりの特定な圧力を計算し、チップスを食べた際にちょうど良い「パリパリ感」を醸し出せるようにしているそうです。ただ、そうした乾燥して硬いパリパリとした、おそらく塩っぽいスナックは体液で大きな割合を占めることになります。胃は食べ物を液状に変える必要があります。乾燥して硬いパリパリの食べ物は体内の液体の重しとなり、前に話した循環に悪影響を与え、同程度、免疫系を弱めることになります。ポンセン、ポップコーン、他のマクロビオティック、有機、自然食クラッカー、チップス、パリパリスナックも避けるべきです。

パンと小麦製品
 私の母は素晴らしい焼き食品の職人でした。ドイツの気質があったからでしょうか。小さい頃、家には常に焼いた食べ物が置いてあり、ホームメイドのイーストパンがありました。美味しいパンがとても大好きでした。今日、美味しいパンとは天然酵母の有機全粒のもので、パン生地に混ぜるちょうど前に穀類を挽き作ります。美味しいパンは栄養化が高いですが、そうしたパンでも弱い免疫系には負担となります。小麦製品は体内でつまり、結腸に留まり便秘の原因となり、生地の湿り気は胃に負担をかけます。惜しい全粒穀類粉を使った製品は健康的で栄養のある食べ物ですが、弱い免疫系を持つ人は避けることをお勧めします。ただ、蕎麦など全粒麺は大部分の人の免疫系にはそれほど負担になりません。

たんぱく質と脂質食品

 放し飼い、有機、干し草を飼料とする多くの動物性製品であっても重く、脂肪が多く体内で停滞と疲弊を招きます。繊維が少ない動物肉と、脂質の多い食物のドロドロとした血液が免疫系を弱めます。動物食が食べたいのであれば、細身の家禽と魚であればマシでしょう。動物食の例外は栄養化の高い硬い骨のスープです(以下参照)。油、ナッツ、種、アボカドなどは有機であっても大量に食べれば体内に不要に留まるため、避けた方がよいでしょう。フラックスオイルや少量のオリーブオイルであれば油源として推薦します。

[ダシ骨スープ]
有機生育された牛、鶏の骨を自然食品店で買いましょう。4L圧力鍋で2ポンド(約1kg)の骨を使います。牛、鶏の骨をすすぎ、圧力鍋に入れ、水を入れましょう。3インチ(約7cm)に切ったワカメを4つ、大さじ2杯の米酢を入れましょう。ワカメは貴重なミネラル源となり、酸性の米酢は骨からアルカリ性のミネラルを抽出します。鍋の蓋を締め、圧力をかけ、低熱で4時間調理し、火から外しましょう。(あるいは、牛、骨肉を4時間水で煮立ててもよいですが、時間がかかります。)

 圧力が下がったら鍋を開け、骨を取り除きましょう。大きな容器に煮汁を移し、蓋をしましょう。一晩冷蔵庫に入れましょう。脂肪が上に上がり、固まります。

 翌日、上澄みの脂質を取り除きましょう。上澄み以下はミネラルと栄養素が豊富なスープ汁になります。すぐ飲みたい場合はスープの1 1/2カップを椀によそいましょう。残りのスープ汁を小さい容器に移し、冷凍庫で保存しておきましょう。

カフェイン:偽のエネルギー源
 長期的に免疫力を高めるためにはカフェインを摂らないようにすべきです。カフェインを摂ることで活力が上がるのは事実ですが、その代償もあります。表あれば裏もあり。カフェインはコーヒー、紅茶、ソーダ、チョコレートの中に含まれています。影響力から見れば、カフェインは食べ物というよりは薬に似ています。薬の影響力の範囲は狭く、即効性があり、効果は絶大です。危機的な状況では薬は効果があり、より深刻な状態を悪化させるのを防ぐ働きがあります。薬のように頻繁に摂らなければ、カフェインは有用です。毎日の飲み物のように摂ると免疫力を弱めることになります。カフェインは貯蔵されたエネルギーを活発なエネルギーに変える力があり、一時的に力が湧きます。ただ、カフェインの欠陥として、エネルギーをすぐ転換できる一方、それ自体何もエネルギーを貯蔵しないということです。緑茶とダークチョコレートは例外か、と聞かれることがよくありますが、個人の判断に委ねています。実感として、頻繁なカフェイン摂取は免疫系を弱めることになると感じています。

マクロビオティックの力
 ではどのような食習慣が免疫系を強化するのでしょうか?個々人の体調に合わせたマクロビオティックの食事法が有効です。下記に列挙したことはもう何度も見聞きしていますが、30数年たった後でも思い出してみることも有用です。

全粒穀類/複合炭水化物
・玄米、雑穀
・焼いたスクワッシュポテト、さつま芋
・根菜類―人参、蕪、大根、牛蒡

野菜
・カリフラワー、ブロッコリー、スイートコーン、緑豆、えんどう豆、セロリ、等
・葉野菜―ケール、コラード

良質の油
・ごま油
・オリーブオイル
・フラックスオイル

良質のたんぱく質
・豆
・テンペ
・魚
・鶏肉

海藻
・ワカメ、昆布、アラメ、海苔

発酵食品
・沢庵、その他の漬け物
・サワークラフト
・納豆
・味噌、醤油、たまり

 基礎的なマクロビオティックの本(Essential Guide to Macrobiotics)を参照し、その他の食べ物を挙げることもできます。上記で列挙した食べ物も体調によっては相応しくないものもありますし、足りないものもあります。「マクロビオティック食」という固定化された食事法ではなく、個人に合わせたマクロビオティックの食事原理が大切であることを強調しておきたいと思います。その食事原理を効果的に活用するには、研究、実践、実験が必要です。経験のあるカウンセラーからのアドバイスも当初は有用でしょう。

 さらに、食物は最低限有機食品の質を維持し、食事は定時に食べ、夜7時以降の食事と無意識なスナック食は最小限に留めるか、なくすべきです。

水分補給
 人体の大部分(全体重の75%)は水分であり、体液の同化と循環は免疫系の強化に不可欠です。どのような液体であれ、吸収した液体は細胞隅々にいきわたります。ミネラルを含む液体は効果的な水分補給を可能とすることが分かりました。最も効果的な補給方法の一つは味噌汁です。その他、塩を一握り/レモンを加えた水や、特にミントやカモミールなどのハーブティーもお勧めです。

その他のライフスタイル要因
 前述した通り、食事は必要ですが、十分条件ではありません。休息と活力を甦らす睡眠も同様に重要です。自分の患者さんたちと話をしていて気付いたのは、休息、睡眠が不十分な人がほとんどでした。皆、免疫系が一日の間に耐えられる以上の活動をしています。今日、慢性的に疲れ、疲弊し、枯渇し、免疫力を著しく低下させる体調にあります。休息が不十分だと、貯蔵されているエネルギーを使い活動しなくてはならず、そのエネルギー消費は免疫力の低下を意味します

 エネルギーと血液の循環を促し、免疫力をつけるためには、適度なエキササイズが有用です。軽めの競歩などのエアロビ運動、ヨガや気候、太極拳などのストレッチや捻り運動を合わせると良いでしょう。生姜の水で付けたタオルで肌をマッサージすることで、血液とエネルギーの循環が刺激されます。

 一日に2度塩水で鼻腔を洗うことでしっとりし、埃などの粒子を取り除くことができます。特に寒い日、インフルエンザの時期には有用です。

 適度な性活動も免疫力が低下するのを防ぐ働きがあります。中医学では高頻度の射精と妊娠は性欲過剰の兆候です。性活動の喪失の程度はもちろん個人差があります。

 最後に、肉体面を主に取り挙げたここでの結論として、腎臓を強くする方法を提案します。ヘルマン相原氏も度々腎臓の力を維持するよう提案していました。中医学では身体中のエネルギー需要を満たす「充電器」「発電所」と捉えています。長年の経験からも腎臓を強くすることが免疫力の強化と全体的な健康と活力の維持に不可欠だと考えています。

腎を鍛える
●塩の摂取量を制限する
・摂取量には個人差がある
・塩っぽいと感じるのであれば塩が過多
・味がしないのであれば塩気が不足
・料理中に塩を使い、食卓の上で塩を加えないようにする

●乾燥して硬い、パリパリとした塩気の多いスナックを避ける
チップス、クラッカー、ポップコーン、パンの過食

●歩く
特に野外と丘を裸足で歩く

●新鮮な空気を吸う

●汗をかく活動をする
庭いじり、家の掃除、肉体労働、エアロビ、サウナなど

●温かい塩湯

●体幹を強化・回転させる運動
ピラティス、ヨガ、太極拳、気功

●マッサージ
タイガーバームを足の腎反射区に塗る

●午後の35時の間に休憩・昼寝

●カフェイン、砂糖を避ける

●特に夕方、腰の真ん中、下部に生姜湿布。就寝前も良い。

備考
 明確な健康食と肉体活動が強い免疫力と全体の健康を維持するうえで大切ですが、私たちを成り立たせている全体を構成するその他のエネルギーも同様に真の治癒、活力のある健康、強い免疫力には必要です。

 パート2ではエネルギーの領域に焦点を置き、特に、精神面、感情面、霊性面における態度が健康と免疫系にいかに影響を与えるのかを述べたいと思います。


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ボブ・リゴン氏は1989年から93年までGeorge Ohsawa Macrobiotic FoundationVega Study Centerに所属し、1992年から2000年までMacrobiotics Today誌の編集に携わる。年1回開催されるFrench Meadows Macrobiotic Summer Campで講師とカウンセラーを務める。98年サンディエゴのPacific College of Oriental Medicineで鍼灸と雑草学を学ぶ。マクロビオティック、中医学の知識を統合し自身の食生活、ライフスタイルのカウンセリング、ライフ・コーチングを行う。現在、オハイオ州アクロンで伝統的な中医学を実践し、カウンセリングとライフ・コーチングを電話でも行っている。予約は下記へ。
330-696-3385
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「免疫力を高めよう(Strengthening Immunity )パート1」は日本CI協会・編集部が和訳したものです。

GOMFの連絡先は下記となります。

E-mail:gomf@earthlink.net
英語版を読みたい方は下記のウェブサイトをご参照ください。